真夜中のコンセプト・スペース
こんにちは。
原宿の夜フクロウ、米谷です。
僕のお店、コンスペは深夜の丑三つ時には、昼間とは違うお客様達との出会いがあります。
夜のキャットストリートは黒猫が一匹通るだけで、深夜の静寂を守っています。
今夜も新しいお客様が見えました!
ヒタヒタ、、、(足音)
「こんばんは。」
「・・」
「外は暗いですね」
「・・・・」
「人も歩いていないですね」
「・・・・・」
「そこのお客様方も少しお待ちくださいね」
「ケタケタ」(かすかな笑い声)
「お兄さんにはこのコーディネートがオススメです」
「クスクス」
「今年はミリタリーが流行なんですが、トラディショナルもキテますからうちの場合、この英国伝統のチェックを使ったうえにミリタリー・アイテム特有の機能性も重視したナイロン素材のブルゾンを着たら、秋の夜長がお兄さんの物です。」
「そして...すいません、お兄さんの首は何処ですか?」
「・・・」
「失礼しました。首が見えなかったもので、」
「それにUKテイストのブルードレスらしいユニオン・ジャック・プリントのスカーフをリボン調に首に結ぶと、チェック柄のトップスと首元の柄でパターンonパターンが出来るんです」
「キャッキャ」
「インナーには人気のアースカラーのベージュ色の七分丈Vネックカットソーを合わせましょう。」
「・・・・」
「今、原宿と渋谷でファー使いがトレンドです。アニマル系プリントのシューズがあるんですよ、これで足元にアバンギャルドな雰囲気を取り入れて、今年らしさをアップしますね」
「・・・」(ひたすら、うつ向いている)
「このシューズを洗いのかかった新作のスリムデニムパンツに合わせてバンツの裾を細くロールアップするとU.Kロック・ファッションの骨太な雰囲気が出るんです。」
「骨だけにボーン・トゥ・ビィー・ワ〜ァイルドォ!!…あ、すいません。つい歌っちゃいました」
「・・・・」
トゥルルルルル…(電話の音)
「すみません、お店の電話が鳴りました。」
ガチャ(受話器の音)
「有難うございます。ブルードレス・コンセプト・スペース、米谷でございます。」(イントネーション付)
プチ!…ツゥーツゥーツゥー
「大変失礼しました最近、無言電話が多いんですよ」
「ケラケラ」
「あれ?さっき迄いらしたお兄さん達が消えてしまっていますね?」
「・・・・・」
「ちなみにこのミックススタイルで行って貰いたい場所があります」
「このコーディネートなら表参道のパワースポットに行けちゃうんです!昼間の街のこなれた方達の目から見てもオシャレ間違いないです。」
「ケラケラ...」
「早速、鏡の前に立ってご覧になって下さい。」
「・・・・」
「あれ? お兄さん…鏡に映ってないですよ!」
「ニヤリ(笑)」
「COOLですね(冷)」