Experiment of gentleman

イギリスのスーツの伝統たるサヴィルロウと、モッズ・カルチャーの系譜を、現代的に解釈する我々ブルードレスのスーツは、今期1930年代と1970年代という時代の狭間期のスーツに焦点を当てました。

世界恐慌と共に幕開けした1930年代は、
スーツにおいては現代まで続くスーツの基本型がいよいよ確立され広まった時期でした。

この頃イギリスの最先端のスーツを最も華やかに着こなしたのが、ハリウッドのスター達です。

フレッド・アステアゲイリー・クーパー、ジャック・ブキャナン、、、

名だたるこのスターの中でも特にそのスーツ姿に注目したいのが、1939年の『風と共に去りぬ』の名演でも有名なクラーク・ゲーブル

「キング・オブ・ハリウッド」の異名そのままの威厳に満ちたスーツ姿ですが、 
まさに1930年代サヴィルロウのダブルブレステッド・スーツの基本である、
太めのピークドラペルに、肩のラインは弓形に湾曲したコンケーブショルダー。
2列のボタンがV字に並べたスプレッド・アウト。
そして腰ボタンの位置は20年代に比べ位置が若干下がったスタイル。
ボトムスはこの写真では見えませんが、1930年代でダブルブレステッドとなれば"Iライン"が基本です。
このスタイルによって非常に男性らしい厚みのあるフォルムが強調されています。

クラーク・ゲーブルの姿はこれぞまさに1930年代サヴィルロウのダブルブレステッドがビジッとキマッています。(添付写真1枚目と2枚目)

そしてブルードレスのダブルブレステッドはこれらのポイントを押さえながら、よりシャープに現代的な視点から仕上げました。

デザイン的な特徴は、
○高めに設定したゴージ位置から、急激に落ちていくラペル角度
○細めにとったラペルの幅
○第2ボタン上部で強調したウエストのシェイプ
○そのシェイプとバランスを合わせて、高めの付け位置をとったフラップ・ポケット
○モッズのテイストが現れた、細めのアームライン

そしてトラウザースのシルエットは当時のシルエットと特に違い、裾に向かって急激にテーパードさせました。
そのシルエットはさながらジョッパーズのようでもあります。
ジョッパーズとは乗馬用ボトムの一種で、上方部はたっぷりしたシルエットで、膝から裾口にかけてぴったりフィットしているラインが特徴で、今作のスラックスも膝下の絞りが最大の特徴です。

ちなみブルードレスのこのトラウザースは、近年サヴィルロウでも再評価が高まっているボタン式サスペンダーも使える仕様になっているので、クラシックな印象を押し出すスタイリングもチョイスしていただけます。

このように我々ブルードレスのスーツは、英国サヴィルロウの系譜の中にありながら、モッズらしい視点から現代的アプローチをした、唯一無二のバランス感覚になっていると自負しております。

ユーザーの皆様にこのスーツを通し、英国スタイルの厚みある美学を、自信と共に纏っていただけたら幸いです。