ブルードレスのスーツの仕立てについて


こんにちわ、長坂です。
先日生地について書いたので、今日は少し仕立てについて。


「英国正統派の仕立て」


メンズファッションの基礎を産んだ英国には、その伝統が産んだ正統派が、どのジャンルにも存在します。

例えば靴で言うならjohn lobb。

チャールズ皇太子を始め、ジェームス・ボンドも含め、英国紳士の足元は、いつもここの靴で飾られてきました。

スーツで言えば「edo and ravenscroft」

その歴史は300年を越え、
何代にも渡って磨かれてきた技巧が、英国王室御用達という信用を勝ち得ています。

ブルードレスは一昨年よりこちらのテーラーの、日本パターン・オーダー部門を受け持たせて頂いており、
そんなご縁から、ブルードレスのオリジナル・スーツは、こちらの国内認可工場にご協力を頂いております。

その技は本当に丁寧。

まず注目は、写真1と2の胸から背中にかけての肩のまわり。

この吸い付くような丸い立体感が、
身体をビルドアップしたような存在感を、丸く生み出しています。

肩まわりひとつで、印象をより男らしく、美しく魅せてくれるワケです。

なぜこれほどの立体感が出せるのか?

パターンもデザインも生地も大切ですが、スーツの美しさの秘訣はその内部に宿ります。

【豆型に歪んだアームホール】写真3

この部分の豆のような形の歪みこそが、人の身体の動きと流れを考えた自然な形なのです。

そのニュアンスを出すために、ここの処理をもちろん手縫いで仕上げていきます。

そして手縫いで仕上げる事により、糸に遊びがあり、ユーザーの動きに応じて追従してくれるので、さらに動きやすさを増していきます。

アームホールはまさにジャケットの心臓部と言って問題ありません。

そしてもうひとつが写真4の【ハ刺し】と中に使われている【毛芯】

こだわり出したら表地についで値段のかかるのが、ジャケットの内部に使う毛芯。

この毛芯がジャケットにしなやかなハリを与えます。

さらにその毛芯をまとめていく、手縫いでのハ刺身。

この処理は手間が掛かりますが、これにより先のアームホールと同じように、遊びを持たせる事が出来て着やすく、
しかも裏・中・表が別の動きをしてくれるので、その人のクセに徐々に馴染んでいってくれるのです。

このようにして、スーツには様々な技巧が使われています。
もちろんこれはそのほんの一部。

良い仕立てにこだわるというのは、ランナーが一分一秒を縮めていくような、より先を目指していくストイックさがあります。

それを自己満足と人もいますが、
自己満足もしていないようなモノでは、
誰も感動してもらえないんじゃないかと、現場で感じています。