螺旋に秘めたる力


こんにちは、長坂です。


昨日、イギリスの宝飾品ブランド「Tateossian/タテオシアン」の新入荷をお知らせさせて頂きましたが、


今回の入荷分に一際目を引くモチーフの、ピンブローチがあります。


「ペーパークリップ」


ん??( ̄0 ̄;)
クリップ?!


そう皆様ご存知「ペーパークリップ」です。


高級宝飾品ブランドのタテオシアンが、日用品であるペーパークリップをモチーフにした事に、驚かれる方も多いのではないでしょうか?


見た目の脱力感は言わずもがな確信犯な洒落のきいたチョイスでしょうが、

これをただそれだけで片付けるワケにはいきません。


19世紀の末頃、世界に登場したクリップは、その頃から既にこの見知れた形で存在していました。


針金を曲げただけのこのシンプルな型で、もう100年の歴史を持つのですね。


第二次産業革命以降、社会構造の変化から、事務作業が一気に増え、その時に出る書類を如何に整理して仕事をしやすくするか?

ペーパークリップはまさに時代が求め、生まれた産物なのでした。

故に様々な企業や個人が我先にと、
新たな形のクリップを製作しては売り込む、まさに群雄割拠だったようです。

中でも勝ち残ったこの型は、やはり何かを持っていたのでしょう。

その「何か?」の一つに、螺旋の構造があります。

近代建築家の父ル・コルビュジェは、人体の寸法と黄金比から作った建造物の基準寸法をモジュロールという方式を持っていました。

その絵の右上、巻き貝が描かれていますが、コルビュジェはそんな巻き貝の持つ、自然の螺旋の比率にも着目し、創作を行いました。

そう美しさの秘密は自然が人より先に既に知っているのです。

螺旋に関して、もうひとつ取り上げたいのが、

芸術家ロバート・スミッソンの伝説的アースワーク
“ スパイラルジェッティ ”

岩や木、鉄や塩といった自然素材を使い、湖にまるで防波堤のように螺旋を作ったこの作品。

自然の力の中に現れる螺旋は、まるで進化や成長の時間の経過を見るようで、
内なる生命感に満ちています。


螺旋、螺旋、螺旋、、、


ペーパークリップのデザインが20世紀を代表する、完璧なデザインと言われ、残り続けているのも、

こんな風に人が、生命が、内なる部分に持つ共通の黄金比が、
どことなく重なっているんでしょうね。