ブルードレスのスーツの生地について
こんにちわ、長坂です。
新作スーツも出来たし、ブルードレスが生地を織って頂いている場所について少し。
一言で「メイド・イン・ジャパン」と言っても、そのクオリティーだってピンからキリまで。
「メイド・イン・ジャパン」の保証みたいなのって、誰が作ったんだろう?
そんな疑問に答えをくれるのが、こちらの100年企業。
「葛利毛織工業」
はっきり言ってここは尋常じゃありません。
100年前からスーツの本場イギリスに生地を出しているような会社で、
今も世界のあの企業も!?この企業も!?
という超ハイエンドなブランドの生地まで織っているバカテク集団。
その凄みは、旧き伝説的織機「ションヘル」を使用している事。
日本にあと11台しか現存していないそれを、8台所有しているがこちら。
このションヘル、とにかく取り扱いが大変。
まずセッティングだけで4日かかるという、名店ラーメン屋もビックリの仕込み日数、、、
そしてやっとの思いで動き出し、織りが始まるのですが・・・
これが、とにかく遅い!!(;´д`)
遅いも遅すぎて、平均的織機の1/5以下のスピードという。
さらにはエンジニアも付きっきり、
メンテナンスもまめにしなくちゃで、
大変な手間が必要なわけです。
じゃあそんな織機の何が良いのか?というと、その生地のフワリとした極上の風合い。
空気を含むとでも言いましょうか、とても柔らかく仕上がるのです。
それを実現するのが、この遅さ。
織機は量産でスピードを上げておる場合、どうしても糸自体にしっかりテンションをかけて織らないとなりません。
が、この低速処理にすると、糸に強いテンションをかけずにも織ることが出来るため、ふんわり仕上がるのです。
葛利毛織のスタッフ方が「ションヘルは手旗織に小さいモーターが付いた位のモノ」と仰っていましたが、まさにそんなアナログなもの作りなのです。
しかしそんな素晴らしい織機も、バブルの時代に物が売れまくったが故、日本中からどんどん消えていったそうです。
その中で、葛利毛織はクオリティーの為にその織機を守りぬき、今改めて評価を高めています。
しかも近年、さらなる新たな織にまで果敢にチャレンジしている事が、葛利毛織の凄みを増しています。
「メイド・イン・ジャパン」の保証は、忍耐力の保証!
こういった現場の方々が、時間を掛けてひとつの道を極め、それを伸ばそうと継続した日々が「メイド・イン・ジャパン」を世界水準の言葉にしているのだなと、尊敬します。